柔軟剤などについての調査情報と提言


柔軟剤の香料はイソシアネート等のマイクロカプセルに包まれている。籠型のトウモロコシ澱粉をイソシアネート等で繋いだ吸着剤に入れてからカプ
セルで包んだものもある。       
 この写真は、国内で流通している
柔軟剤で洗濯して太陽で乾かした布の
繊維に接着しているカプセルとその
内部のトウモロコシ澱粉シクロデキ
ストリン・イソシアネート等の鎖状
ポリマーらしきものが写っている。
 洗濯機で濯いでも落ちないのだから
強く接着できるように、ポリウレタン
として固まりきらないプレポリマー
イソシアネートに違いなく、接着でき
るように活性で有毒なイソシアネート
基が残っているだろう。
  乾いた後で布を揉んだらマイクロカプ
セルは破れて萎れた。
香料は外に出て行ったろう。
 残ったポリウレタン・カプセルは、
日光や、着物がこすれることや、温ま
ることで揮発しやすい小さい分子
に分解する。香りが失せてもまだ有害
だろう。




 イソシアネートは特段に薄い濃度の空気中汚染でも、多くの人がアレルギーを起こすので有名な化合物だ。
喘息のような咳の発作や目や鼻や喉など粘膜が炎症を起こしたり、皮膚も炎症を起こしたり色が変わったりする。肺から血液に入って全身を回り、呼吸器、心臓、脳、に多く集まり、腎臓、泌尿器、肝臓、脾臓にも集まる。中枢神経機能の変調も知られているし、血管収縮で心臓発作も起きそうだ。塗装作業や発泡断熱材吹付け作業で即死した例も知られている。慢性的には間質性肺炎になって回復不能となり、酸素ボンベを引きずって暮らした末に死に至ることもある。喘息発作で急死もある。失明の恐れも考えられる。
 欧米では安全対策の必用にせまられ、直読と連続記録できる簡易分析器とイソシアネート類合計の分析法も確立され、特別に厳重注意されていた化合物で、貿易にはあらゆる製品からイソシアネートの100万分の1重量%の検出も規制され、作業環境空気では0.001ppmの管理濃度に、地域環境では0.00007ppmの指針値にと他の化合物に比べて桁違いの薄さまで危険とされている。アジアの国への輸出でも同様らしい。しかし日本ではイソシアネート類全量分析の試薬さえ輸入されてないし、簡易分析器もやっと輸入が始まったばかりで健康影響が始まる程度の濃度では分析で確認することも難しい。
 イソシアネート類は性質が様々な多様な化合物にすることが出来るので、サラサラ液体、ネバネバ液体、硬くて強い材料、変形しやすいゴム、ふわふわスポンジ等に開発された新材料として、30年ほどの間に極めて広い用途に急拡大した。イソシアネートを利用して製品にしているのは、特許出芽件数でみるとこの図のようである。
 香料や農薬にも扱いやすく長持ちさせるためなどの粒にするためにイソシアネートが利用されることが多くなった。








提言

 環境空気で健康影響を受けた市民の間ではイソシアネートに関連した製品での影響が囁かれていたが、他に比べて特段に希薄な空気汚染でも皮膚接触でも重大な障害を起こしやすい化合物として欧米では1970年代後半の工業化当初から注意されてきたものである。最近発表された研究報告書、厚生労働科学研究費助成金(化学物質リスク研究事業)・家庭用品から放散される揮発性有機化合物/準揮発性有機化合物の健康リスク評価モデルの確立に関する研究・室内空気汚染物質定常型放散源の定量的スクリーニング並びに呼吸域暴露評価手法の開発研究報告書で、検査した寝具や室内材料、日用品等30種の日用品中27種から健康影響レベルのイソシアネート類が検出されたことが明らかにされた。また近年には、柔軟剤香料や農薬の効果を長持ちさせる徐放技術にも利用され始めた。
 有機化合物ポリマーは、単分子系統と種類ならびに結合剤、架橋剤、硬化剤、結晶化度などによって多様な開発の可能性を秘めたものであり、さらにそれらポリマーを主剤とした材料作成に際して種々な目的の添加剤を加えて望みの性質に作り上げることが出来る。イソシアネートは化学反応性に富み、多様な性質のポリウレタンや他のポリマー開発に有用ではあるが、最近は地域環境にもその利用製品が用途を急拡大したので消費者の健康影響が問題になってきた。開発の便利さや、製造コストの有利さとの矛盾があるにしろ、国民健康に影響して安全で健康な生活を損ない、国家的にも医薬費の増大と労働力の低下などで不利益である。欧米では代替化合物での製品開発が吸い推奨された結果、既に幾つか市場で採用されている。日本においても代替え材料使用促進を図ることなどの早急な対策が望ましい。
 また環境中でごく低濃度でも特段に悪性のアレルギーを発症しやすい危険な化合物で、イソシアネート基を含むあらゆる種類、あらゆる形態の化合物が同種・同強度の毒性であるから、その全種類の合計濃度が十分敏感な感度で、また汚染状況全貌を調査できる津億毒・連続記録できる実用的な国際的なレベルの分析器・分析方法と技術開発し、現在国内各地で広範に拡大し始めたイソシアネートによる障害の現状把握と発生源対策を、自治体・保健所などでの地域健康安全対策、事故に際する科学捜査、職場や公共施設の安全確認、国民的な衛生指導と消費者自衛に活用を促進することが望ましい。
  平成29年3月末日
 関係各位殿
特定非営利活動法人化学物質による大気汚染から健康を守る会
    理事長 森上展安