「大気から健康を守る基礎知識--その3
 高分子材料の分子構造と高分子材料成分」

VOC研 第17回 セミナー

2016227日(土) 13時から14時 

浅草 井門浅草ビル 7F TKPスター会議室

VOC研理事














高分子材料内の分子は、均一の化合物ではありません。

モノマーのつながりの数、重合度が違うものが混じっています。

このでは、分子量6800が中心で一番多く、

4000から9000ぐらいのまであります。

散らばり方は、高分子の作り方で変わります。







重合前の1個の分子はマノマーと呼びます。

1000個以下のつながりはオリゴマー、低分子とか、多分子とかと呼びます。

ポリマー、高分子と呼ぶのにも、割合小さいものから、超高分子と呼ばれる100万個以上のつながりのものもあります。












モノマーがジケテンの時にも、挟むものがジアルコールだとポリエステルが出来、

挟むものがジアミンだと、ポリアミンが出来ます。

一口にポリアミドと言っても、あるいはポリエステルといって、モノマー中心部分のRと、
挟む分子のR‘がいろいろの分子の組み合わせものがあるのです。







また、シリコン樹脂の場合には、高分子の紐の中心は、シリコンと酸素の繰り返しですが、シリコンの両脇についているものは、
メチルだったり、フェニルだったり、水素だけだったりします。シリコンの両脇が違うモノマーを混ぜ合わせることもできます。 

 全部メチルだったり、全体はメチルなのに、一部だけフェニルや水素にしたりできます。

 もっとずっと複雑な有機の原子団に変えることもできます。

勿論、イソシアネートを脇にしたシリコンもできます。






今述べたように、高分子はモノマーの間の結合剤が変えられるだけでなく、
ある程度長くなった低分子・プレポリマーの間を別の結合分子で強くすることもあります。 

 たくさんのモノマーがつながった高分子がポリマー材料になった中では、高分子がどのようになっているのか見ていきましょう。







合成樹脂、プラスチック、ゴム、など高分子材料の中では、高分子の紐は分子構造の特性や材料に作る時の条件で、
こんな風に種々様々な形になっています。 
1本の硬い紐ではありません。

 枝分かれしているもの、らせん状の物、折りたたまれたもの、交差しているもの、ぐちゃぐちゃなもの、など様々です。

中には、規則正しく平行に並んだものや、毛糸で結んで作る玉のように中心の周りに集まったものもあります。

規則正しくんだものを、高分子の結晶と言いますが、材料の中全部が決勝になることはなくて、不文的に決勝になっているだけです。






長く紐になった高分子間を、

橋を架けたように結びつけるのが普通です。これを架橋剤と呼んでいます。







さっきのような形で材料の中にある高分子の紐の間は不規則なので隙間だらけです。

その隙間には、気体や液体が入り込み、環境空気と出入りしています。

 可塑剤など、添加物もその隙間に入っています。







幾つもの高分子化合物を混ぜて作った高分子材料の中は、顕微鏡で見ると不均一な組織構造になっているのもあります。

これはアクリル樹脂とイソシアネートの例です。






高分子材料は、高分子だけでは一般実用材料になりません。

材料として実用できる性質を与えるために、沢山の目的の添加剤を加えてあります。

化学物質過敏症関係者ではよく、高分子材料はリン酸系やフタール酸系の可塑剤が有害原点だと言われますが、
有害な添加剤はそればかりではありません。



可塑剤の中だけにも、いろいろな系統があり、リン系やフタル酸系ばかりでなく、有害性が高いものも低いものもあります。





高分子は使っていると悪くなります。 分子が壊れて分解しているのです。分解して環境に出て汚染原因になる分子もあります。


高分子が壊れる原因には、作用の仕方や環境の色々なものがあります。

熱や光や力や環境物質等です。







使用や廃棄の時の機械的作用で起きる現象を調べてみましょう。

機械的作業では材料は触れ合う相手に押し付けられる荷重を受けながら、表面に沿って動きます。

 触れ合って動いている部分を調べると、小さな光る部分があります。紫外線の光は、滑っていく後ろにこんな風にありました。

光りの中を調べると、イオンや電子や、電磁波がいろいろ混じっていて、これがいろいろな化学作用で、高分子劣化の大きな原因になることが分かりました。






化学作用の原因になる光の発生部分は、接触部が平らであるときには、尖っている時よりもはるかに大きくなります。


また、同じ形の時には、周りの空気をポンプで引いて、空気圧力を下げると急激に大きくなりました。


光るところが大きい時には、劣化の分解も多くなるということです。






化学反応を盛んにする粒子が飛び出すばかりでなくて、表面近くの平均の温度も熱くなります。


どのくらい熱くなるか計ってみると、一般的には、荷重が大きく、運動が早くなるほど熱くなります。

これが毎秒6cmの時の果汁に連れての温度上昇、これが毎秒30cmの時。

けれど毎秒100cmと、速度が速くなりすぎると、温度も上がり過ぎて、表面の化合物が次々と変質してしまうので、変質の度に表面温度が急上昇したり、冷えたりします。

表面が劣化した層の深さは、どの速度の時にも荷重が増えるにつれて急速に深く迄、劣化するようになります。

速度いほど少しの荷重増加で深さが増えます。










耐熱性がよいフッ素樹脂やシリコン樹脂で調べたところ、材料全体に対して環境に放出される量の割合は、90℃までに温まるだけでも、桁違いに増えています。

シリコン樹脂は、常温近くでさえ、放出量が相当あります。





高分子材料は、材料自体が複雑で多様な構造を持っている上に、環境汚染として放出される材料劣化のメカニズムも多様です。

 放出されるものも多様です。 

 この様に多様な環境汚染発生全体への対策は、極めて困難、不可能と言えます。

 最上の対策は、少しでも危ない可能性がある材料は使わないこと。

使ってしまったものの廃棄処分には、性質バラバラな有機物汚染を、性質が分かりやすい無機物にまで酸化分解して除去処理すること。

 実際には、適切な焼却しか方法がない、ということです。




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