今年のゴールデンウィーク近くになってから、土浦市、牛久市の多くの地域で、「花粉症デビューしたのかしら。何故か体調不良で」とか「風邪みたいで病院に行ったのだけれども風邪ではなくて、なぜか具合が悪い」とかという人が何人もいました。私も体に異変を感じましたので、空気の連続観察をしたところ、かねてから最も重大な環境汚染化合物で、強いアレルギー毒性だと注意していたイソシアネートが、今までなかった高濃度で、しかも連続に広い範囲で発生していることが分かり、ネットでの検索調査と照らし合わせると、今年から大量に新しく使われ始めた農薬に見当がつきました。 このままでは危ないので、対策の仕方をご相談したくお話しします。汚染物質の成り立ちと調査方法を理解していただくことも、対策を考えるのに必要不可欠なので必要最小限度に解説します。




小学生で調べると、鼻アレルギーとか喘息は増えていますが、アトピーは減っていますので、吸い込む空気中の物質がアレルギー原因に変わってきたことが推定できます。1年生から6年生まで鼻アレルギーがだんだん増えているので、遺伝性ではなくて、それまでに吸い込んだ空気でアレルギーを起こすように変わったことも分かります。

喘息では20年間に2倍にも増えていますし、一年生でも多くなっていますから、近年ほど喘息物質が急増していることを示唆しています。



米国では、TV放映でイソシアネートの基礎知識を講義すると共に、他のyoutubeでは塗装作業に際する防御対策や、発泡ウレタン断熱材による住むに耐えない室内被害状況などでも市民への警告を発しています。



それらの努力で市民にはイソシアネートの害が良く理解されているようで、例えばこの塗料の広告でも、赤線を引いた部分、先ず最初の製品名からして「イソシアネートを含まない塗料」としてあり、先頭の応用例写真の説明でも、「危険に満ちたイソシアネートがない・・」とあり、特徴を10項目挙げた最初の項目がまた「イソシアネートを含んでいない」と、念入りに有害なイソシアネートがない事を最大のセールスポイントの掲げてある。市民がイソシアネートが特段に恐ろしい化学物質であり、塗料にも使われていることを良く知らされているからこそ、これがセールスポイントになっています。日本でも類似の塗料が発売されているが、イソシアネートという言葉は一つも掲げられていません。日本人には、健康対策としてこんなに重要なことが隠蔽されているとしか思えません。



流通している化合物の作業環境許容濃度と毒性症状は物質安全データシートという資料に書いてあるのでネットで調べられます。 近年の環境汚染で一番危険で、今年始まった広域的汚染であるイソシアネートについて調べてみましょう。  職場の安全サイト→msds→イソシアネート と検索するとトリレンジイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,6-トリレンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-355トリメチルシクロヘキシル=イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、関連サイトのポリイソシアネートMSDS などが出てきます。  イソシアネートの1種の2,6-トリレンジイソシアネートの物質安全データシートMSDSを見てみましょう。 初めの方にWHOで決めているラベルの絵が書いてありますが、その意味はこのようです。 ! が書いてあれば 急性毒性、皮膚腐食性・刺激性、目に対する重篤な影響・眼刺激性、皮膚感作性、特定標的臓器・全身毒性があります。 どくろマークならば、もっと強い急性毒性があります。 人の絵ならば 呼吸器感作性、生殖細胞変異原性、発癌性、生殖毒性、特定標的臓器または全身の強い毒性、繰り返し暴露毒性、などがあります。


区分というのに1から5までありますが、区分1の方が少量でも危険で、毒性が強いのです。  
初めには危険性有害性要約や注意書きがあります。 これだけでは判断できないので先に行きます。




 第3章には 化合物構造の図が書いてあって、慣れてくると直感的に毒性その他の性質を推定する目安になるので大事な情報です。 いちおう目にとめておきましょう。  次には、物理的性質や化学的性質、取扱いの注意などが書いてありますがそこは飛ばして、8章の暴露および防御措置 を見ましょう。




8章には 暴露防止および保護措置 が書いてあります。 ここでは、規制濃度を書き留めましょう。

影響最低濃度として、イソシアネートには 職場で具合が悪くならないように決めた作業環境許容濃度とか 作業環境管理濃度Ckがあります。  汚染化合物は1種類で使われることはなくて、有機溶媒と塗料成分などのように、何種類か混合して使われるものです。 どの化合物でも多量だと大抵は健康影響があるのですが、その中での毒の強さはそれぞれ違います。

どれが健康影響するかというと、濃度が濃いものではなくて、影響し始める最低濃度が問題になります。 正確に言うと、影響最小濃度に対する存在濃度C が 影響の強さです。Ckが書いてないのは調べていないだけで、低毒性というわけではないのです。



物質安全シートMSDS8章には 職場の規制濃度しか書いてないです。 大気や居住環境での規制濃度、基準濃度はイソシアネートについては決められていませんが、それは一般に作業環境規制濃度の500分の1から1000分の1です。 イソシアネートの大気環境の最低影響濃度は0.00001ppmぐらいといえます。

 実際に規制ある外国では、0.00007ppmが多いです。

毒だ毒だと言われているトルエンの日本での室内空気濃度指針値が0.07ppmで、作業環境管理濃度が20ppmです。どんなに強い毒カ分かるでしょう。


次には11章の有害性情報を見ましょう。急性毒性にはデータなしということです。 トリレンジイソシアネートはイソシアネートの中では最初に工業的にヨーロッパで使われはじめ、その時の作業者の発病が著しくて大問題になって良く調べられているものですが、それでさえもデータがない項目があります。

 データがないので安全だということではありません。 また、液体であるために吸入は想定されずというのは、8章で見た作業環境での空気中規制濃度が決められていることと矛盾します。 物質は、液体であっても固体であっても、必ずある程度の蒸発気体を持つというのが、物理や化学の平衡状態図というので描かれていますので、この項は無視します。 皮膚腐食性、刺激性の項では、「吸入摂取:蒸気、ダスト、または物質との接触で重度の障害、死亡の惧れとも。水との反応や火災での蒸気発生も有害です。



次には、目に対する重篤な影響・刺激性があること、呼吸器や皮膚への強いアレルギー性があること、生殖細胞変異性も強いので奇形など次世代への影響もあるということです。


人への発癌性も動物実験から類推されています。

特定標的臓器・全身毒性では、単回暴露についてだけ呼吸器への強い毒性をあげていて、目、皮膚、気道への蒸気での刺激もありました。 繰り返し暴露毒性と吸入毒性についてはデータがないということです。



流通しているトリレンジイソシアネートは、2,4-ジイソシアネートと2,6-ジイソシアネートの混合物です。 混合物としてのイソシアネートのMSDSの方が、健康影響が詳しいのでそちらも見てみましょう。 目に対しては、ウサギでは角膜損傷もあって、人でも回復時間が不明の強い刺激ということです。



呼吸器への人のアレルギー性で、喘息のような急な発作、重いけいれんを伴った気管支喘息、肺水腫、肺炎を起こすとあります。 皮膚のアレルギーで じんましん、皮膚炎や接触皮膚炎があったという報告も幾つもあるので、強い危険性があるとされました。



一回だけの被害では、肺、気道、皮膚に対する刺激性、激しい乾いた咳、痰を吐く、胸が締め付けられる感じ、呼吸困難、気持ちが悪い、吐く、重い気管支炎、肺水腫、肺炎、さらに長い間、頭痛、物忘れ、集中力をなくす、錯乱、人格の変化、刺激されやすい、鬱になる、反対にハシャグ、一時的にも 運動失調、断続的な手足の痙攣、めまい、意識消失、頭痛等の中枢神経への影響、記憶障害、混乱 等の症状が起きるので、

総合的な国連WHOの判定で、呼吸器と中枢神経への強い障害とされています。

続いて繰り返し被害の症状を見ると、人では喉への刺激性、呼吸困難とあります。呼吸困難というのは、症状として酸素不足で頭が痛くなったり神経が働かなくなったり吐気がしたり、胸が締め付けられるような感じがすることを言います。動物実験で繰り返し吸入させたときは、肺、気管、肝臓で変化が見られました。



続いて繰り返し被害の症状を見ると、人では喉への刺激性、呼吸困難とあります。呼吸困難というのは、症状として酸素不足で頭が痛くなったり神経が働かなくなったり吐気がしたり、胸が締め付けられるような感じがすることを言います。動物実験で繰り返し吸入させたときは、肺、気管、肝臓で変化が見られました。


第15章に法令がトリレンジイソシアネートに関して書いてあります。 第8章で見たように、作業環境に関する法令があります。 PRTR法で排出基準もありますが、

直接健康に影響する地域環境空気や室内空気についての法令はイソシアネートについてはありません。

それは、用途が広いイソシアネートが次々と開発されるので種類が多くて、1種類ずつの流通量が少ないことと、日本では技術的に全体の精密分析が困難、というより不可能で濃度規制が実施できないこと、毒性評価の調査データも揃っていないことのためです。

どうして分析が出来ないのかということを次に考えて見ましょう。




実際に空気汚染について被害者の言うことを確かめるには、空気中にある化合物の種類と濃度を分析して調べます。空気の分析方法はいろいろありますが、専門家が使う精密分析法はガスクロマトグラフ(または液体クロマトグラフ)と質量分析器の組み合わせで化合物の分子構造で見分ける原理です。原理的に万能ではなくて検出できないものも多いのです。では、有機化合物の分子はどんな形になっているでしょうか?


有機化合物は無機化合物ととても違う成り立ちです。

無機化合物を作っている原子の種類は地球上にある全部で、この表のように118種の種類全部をそれぞれの決まりに従って週数この原子を組合せで作った化合物です。一方、有機化合物はもともとは生物が自然の営みで作ったもので、その中の炭素と水素だけで殆ど出来ていて、その水素が空気中の酸素と窒素とに置き換わることも良くあります。少しは硫黄とリンが入ることもあり、例外的に金属原子を含む有機化合物もたまにあります。近年になって人がそれらの利用性質を真似て人造の化合物を作るようになり、塩素やフッ素、臭素を含むものも出てきました。  しかし、有機化合物は炭素と水素で組み立てられたものが基礎で、必ず炭素を含んだ骨組みです。




炭素は4つの水素を繋ぐことができます。こんな形です。メタンという名前です。  地球上に有機化合物が出来てやがて生物までが出来始めた最初は、このようなメタンが出来たことです。ですから地球以外の星に生物が居ないかと探すには、その星にメタンがあるかないかが目安になります。  有機化合物成立ちの大本のメタンは、水素を一つずつ切り離して切り口を作り、そこに水素の代わりにもう一つのメタンと繋ぐことも出来るし、次々と長く繋ぐことも出来ます。

 4つの水素は120度の角度なので、丸めて6角系に繋ぐことも出来ます。この6角形はベンゼンという名前です。 同じようにして、水素を1つとった切り口に、次々とメタンやベンゼンを繋いで、大きな形の分子を作ることができます。 有機化合物の基礎は、このような炭素と水素という2種類の原子だけを繋いで、無限に多くの種類の化合物分子を作ることです。炭素と水素だけで出来ているので炭化水素という名前ですが、これは殆ど毒性は無視できます。



空気中にある酸素が、水素を取った切り口に代わりに結び付くことがあります。 炭素と水素の間に酸素が入り込んでこんな形になると、アルコールというものになります。 メタンでのアルコールはメタノール、エタンのアルコールはエタノール、とオールを付けた名前で、どんな炭化水素も同じように、それぞれのアルコールが出来ます。 酸素と水素が1つの炭素を挟んでこのように着いたものは、アルデヒドといいます。アルデヒドは、:ナールという語尾で呼びます。 メタンにつくとメタナール、エタンにつくとエタンつくとエタナール、プロパンにつくとプロパナール、でもベンゼンにつくとベンズアルデヒドと言います。 メタナールとエタナールにだけは通称があって、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとも呼ばれます。 こういう風に酸素が付くと、化学反応しやすくなって、生物にも反応を起こして毒性が顕著になります。


塩素やフッ素、臭素は空気中にはないので自然にできる有機化合物にはないのですが、それらは水素1つと入れ替わって塩素化合物などを作ります。メタンの4個の水素が全部、塩素と入れ替われば4塩化炭素、3個が入れ替われば3塩化炭素、英語でテトラクロロメタン、3個がかわればトリクロロメタンですし、エタンで水素の代わりに塩素が付いても同じように、塩素の数を表す言葉と塩素:クロロとをつけて、モノクロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、のように呼びます。 ベンゼンでも同じようにジクロロベンゼンで、PCBはポリクロロベンゼンのことです。。

塩素は炭素と強く結びついて離れないので、何時までも分解しない長期汚染物質です。 塩素が付くと有機化合物でも、人体になじみがない毒性化合物として神経その他の臓器を長く痛めます。 無機化合物では化学的性質や毒性が原子の種類で決まるのにたいして、有機化合物では、少数原子のセットが、あたかも原子の種類のようにふるまって、化学的性質と毒性を決めます。 イソシアネートもその例です。



窒素は炭素と同じように水素4個と結びついてアンモニアを作ります。 アンモニアの水素も一つずつとつて切り口を作ってメタンその他の有機化合物と置き換えることができます。 1つの水素を有機化合物と置き換えたものは1級アンモニア、2つ置き換えると2級アンモニア、4つ置き換えると4級アンモニアと言います。 洗濯に使って不快感と毒性が問題なっている消臭剤には、4級アンモニアが殺菌剤として入っているのでこれが問題の犯人だ、とも言われていますが、4級アンモニアでもついている4個の有機化合物は何だかわからないので、同じ毒性かどうかははっきりしません。 窒素はまた、3個だけの水素と結びついてアミンを作ります。 この水素もまた他の有機化合物と置き換わります。 炭素はいつでも水素にして4個の結びつきですが、窒素は曲者で、4個、3個、2個、5個の切り口を使い分けるのです。ですから、さまざまに化学変化しやすくて、生物に対しても様々な有害作用をするのです。  炭素と結びついた有機化合物の塩素と違って、長く残らないのですが、変化の激しい有害作用をします。 アルカロイドと呼ばれる毒性の強い化合物グループは全部窒素を含む有機化合物です。 ボツリヌス菌の毒も、ふぐ毒も、トリカブトも、毒キノコも、みんな窒素を含む有機化合物のアルカロイド群です。



有機化合物の特徴の一つは、無機化合物の原子種類のように、炭素と水素と酸素と窒素の少数個の原子の一塊のセットが毒性と化学的性質を決めていることです。 そのような原子のセットを-基と言います。 特性基とか遊離基とか・・・。 無機化合物では、水銀、クロム、ヒ素、塩素、リン、などが入っているからそれら特有の毒だ、と分かるのですが、有機化合物だと、何処にでもある無毒な炭素と水素の他に酸素、窒素が入っているだけの場合にも、死ぬほどに毒なことがあるのです。 代表的な原子のセットのものを並べました。 この中で、青酸カリ・シアン化カリの毒の部分である有機青酸化合物・英語でニトリルと呼ぶもの、やイソシアネートをつくるものは、特に気を付けてください。  これらの原子セットはどの有機化合物にもが付けられます。それぞれの原子セットの毒性を共通に持った無限の種類のアルコール、アルデヒド、ニトリル、イソシアネート等の系列の化合物が無限の種類に開発できるのです。




基はなんにでも付きます。イソシアネートの例の図ですが幾つもつながって大きな分子になってもついています。窒素が入っている時には特に注意してください。有機化合物分子の基の中に入り込むと危ない窒素ですが、空気中に80%もある窒素は、空気中では2個ずつが3個の切り口で頑強に結びついて離れないので安定です。 空気中の窒素が安定なので、生物はみんな入り込んでくる強い化学反応を抑えて守られていると言えます。 今、人類は、その安定な空気中窒素を工業的な方法で反応しやすい暴れ者の窒素にかえて、肥料や爆薬や特に今まで地球上に無かった有毒な種類のプラスチック原料に大量に利用し始めたのでどうなることかと心配されています。



ポリマー、高分子とも言いますが、ポリマーとは単分子がつながったものを言います。 この図は、エチレンがつながって、ポリエチレンになるところを書いたものです。 イソシアネートが幾つかつながった重合体モノマーも、イソシアネート基が付いているので同様な症状を起こすことになります。  プラスチックも、合成樹脂も、ゴムも、こういう結び方で出来ているポリマーを集めた材料です。 接着剤や塗料も、固まったものはポリマーの集まりです。固まりかけた粘いものや合成の機械油などもつながりの数が中途半端なポリマーです。




ポリマー・高分子は、単分子の繋ぎ目や枝の部分に違う種類のものをつけることができます。 安全な名前のポリマーでも、中には毒の部分を繋いであるかも知りないので油断は禁物です。 例えば、シリコン樹脂の場合には、高分子の紐の中心は、シリコンと酸素の繰り返しですが、シリコンの両脇についているものは、メチルだったり、フェニルだったり、水素だけだったりします。シリコンの両脇が違うモノマーを混ぜ合わせることもできます。  全部メチルだったり、全体はメチルなのに、一部だけフェニルや水素にしたりできます。  もっとずっと複雑な有機の原子団に変えることもできます。 勿論、イソシアネートを脇につけたシリコンもできます。



さて、ポリマーで出来たポリマー材料は、どんな構造になっているのでしょうか? さっきのポリマー分子の図では一つのポリマー分子を1直線で書きましたが、ポリマーは数十万個の単分子・モノマーを繋げた糸のようなものなので、実際にはくねくねしたり、枝分かれしたり、からまったり、部分的に整然と平行に並んだり、毛糸の束を一か所で結んだ玉のようになったりしています。これらの集まり方で材料の硬さや強さが左右されます。固い材料にするためにポリマー分子の間にところどころ橋を架けたような結びつきを作る橋の分子としてイソシアネートがよく使われます。

 反応を起こしやすくて都合がよいのです。 反応が起こしやすいということは、人の体にも変化を起こしやすいということです。



先ほどまでの有機化合物構造の図によって、有機化合物の毒性が、どんな化合物にあって、どんなふうに材料になっているかは分かりました。実際に体調の変化があって周りの空気の変化が疑われる時には、分析して確かめたくなります。 分析で調べるには、上のような方法があり、上の3種は分子の構造で見分け、下のはが売物の反応で見分ける方法です。 空気汚染物質を確かめるには、前にも述べたようにこのような分析方法を使うわけですが、私たちは、専門家や行政を通して専門家に依頼して分析結果を聞くときに、「有害なものはなかったですよ」と言われても、どうやって調べてどういう物を確かめたのか知らなくては、信じていいのか騙されているのか自信がもてません。ほとんどの場合は騙されています。  分析者は騙す気はなくても、見当はずれの化合物だけを大金かけて調べているので有害性を確かめることにはなっていません。 そこで私たち自身の手で、不十分な方法ですけれども実際の空気汚染の全体の様子を探らないわけにはいきません。




普通の大気中ではトルエンが一番く、2番目にp-キシレン、3番目にエチルベンゼンが多いということが知られています。 しかし、このクロマトグラフは、著しく汚染が多くて健康被害が重かった時のクロマトグラフですが、普通の空気ならばトルエンやエチルベンゼンより小さくて、現れない筈のいろいろな化合物のピークがずっと大きく検出されています。

トルエンは他の化合物と重なっているのですが、それでもこれだけの大きさが示す濃度でエチルベンゼンも小さいです。 何かしらの化合物を示す検出ピークは沢山ありますが大体は名前を判定しているように見え、名前を調べてないのは少しだけのように見えます。

 行政の分析報告書はたいていはこのような分析記録そのものは見せてくれません。この中の幾つかのどこにでもあるので分析技術者が慣れている化合物だけの濃度を、このピークの大きさから計算した表を報告するだけで、それらの濃度が法令の規制値と比べてそれより低いから安全だと結論付けてきます。  大抵の分析は、この左半分しか測っていません。右半分を調べるのはやや難しいのですが簡単で感度の悪い方法で済ませているのが殆どです。 ここにイソシアネートの一種が検出されていますが、他のイソシアネートはどの位置で検出されるのか知らされないので、有ったのか無かったのか分かりません。


引き延ばしたのでボケボケですみませんが。 さっきの分析記録を、少し丁寧に分析した時の記録と比べてみました。

 左のはさっきのと同じ分析報告書の判読記録ですが、上のは、同じ分析データを印刷物ではなくてコンピュータのメモリーで提出してもらって、産総研の研究者の指導を受けながらざっと検索してみたものです。左のクロマトグラフはずっと拡大してあります。

 左の図のトルエンとエチルベンゼンの範囲、赤い矢印の間だけ見ても、左の図ではないことになっていた沢山の化合物に対応するピークが実際にはあったことが分かります。

 これらのピークには、化合物分子をイオンに分解した質量分析スペクトルというもので調べ、対応する化合物の名前を書き込んでありますが、この名前は間違っているかもしれないのです。 

 何しろ有機化合物の種類は2千万種以上もあると言います。 先ほどまでに図で示したように有機化合物の構造は似たものが多いので、質量スペクトルも似たものが多くて区別付きにくいのです。
 検出されたピークの化合物名を確かめるには、名指された化合物を標準試料として同じ分析で確かめるしかないのですが、入手できる標準試料はまだ少なく、標準試料で分析した記録のデータバンクでさえまだ10万種程度です。


というわけで、上記のように数百万円以上かけて精密分析しても、正確に汚染状況が分かるというわけではないのです。 その空気が健康に重大な影響を与えているかどうか、という大雑把な判定さえもが、現実と違うことが少なくないのです。




大雑把でも良いから、空気が毒かどうか、確かめたいというのが私達と市民です。  毒性気体分析器という簡易分析器が欧米では40年も前から普及しています。 いろいろなタイプのものがありますが、これはケムキーTLDというカタログの名前で、ハネウェルという精密機器メーカーで販売しています。 

 試薬をしみこませたテープを左側のカセットから送り出し、一定時間ごとに空気を強く吹き付けて、反応した色の濃度をレーザー光線で測って濃度を表示するものです。  試薬テープを取り換えることでいろいろな毒性ガスを、作業環境で問題になる程度の濃度でも検出し、15分ごとの濃度変化を記録することができます。  私達の研究会では、濃度は計らずに、低い濃度でも検出できるようにちょっとひねった使い方で長期記録して時間的変化と環境の関係を調べています。



今年の田植えの時には、初めにお話ししたように酷い体調異変が昼夜続きました。夜遅くなってから濃度が上がることもあり、田植えが済んでしばらくしてからは深夜の短い時間だけ薄れることもありました。 その時のケムキーの記録はこのようでした。 大まかな濃度は、0.002ppm以下、作業環境の許容限界程度です。 健康弱者も長期吸入する地域環境では、規制基準がある外国の例によれば、0.00007ppm以下でないといけないことになっています。



屋根工事があった家の室内では、塗装中に6時間ほど高濃度汚染が起ったほかには、工事準備の日の午後に1時間ぐらいうっすらと、また工事後始末の日の夕方に1時間ぐらいのイソシアネート汚染が記録されているほかの時間には検出されていません。 土木建築作業での汚染は、何処の例でもこのようで、今年の田植えの頃からのように検出が続くのは初めてでした。





JMS社製の自動連続運転ができる簡易クロマトグラフ、でも、記録してみました。 屋根の塗替えの時には、ケムキーでイソシアネートが検出される時間にはクロマトグラフでの化合物濃度も増大しました。

他での土木建築作業の時も、ピークの位置は違うけれども増大することは同様でした。 ところが今年、田植えの頃のケムキーでイソシアネートが検出された時と薄れた時の傾向はまるで違うのでした。 イソシアネートが検出されている時間には、クロマトグラフによる有機化合物検出は減少し、イソシアネートが薄れた時間には有機化合物濃度が増加するのでした。

 なお、最近までもクロマトグラフでの検出ピークが今までとまるで変ったのです。9年間連続測定をいろいろな場所で記録してきましたが、今年のように、通常のトルエン、エチルベンゼンピークが減少したのは初めてなのです。



今年の春から少なくも土浦市、牛久市、竜ケ崎市体験された体調に著しく悪い空気の分析で分かった性質は、今まで体験した土木建築のように、有機化合物濃度合計TVOCと化合物種類が作業時間だけ急増するのとは違い、TVOCといつもあるトルエン等の自動車排気ガス成分は増えず、種類の増え方もわずか2~3種に過ぎないのです。それにもかかわらずイソシアネートは今まで体験しなかった高濃度で日夜途切れなく続くのでした。


田植えが終わってしばらくしても、土曜の午後から体調で空気汚染を強く感じ、日曜にはだんだん強くなり、月曜一杯にも空気が苦しいと感じることが繰り返されました。建築のときとは違って、空気汚染はすぐには薄くならずにだんだん薄れながらも一週間続き、金曜の午後が一番きれいになってらくだと感じられました。 気がつくと、近所の空き地の草が少し枯れていますが大部分は緑なのです。昨年までは除草剤を撒いた2~3日後には空き地全面の草がいっせいに枯れていたので、おや、除草剤を撒いたような撒かなかったような、変だな、と首を傾げて眺めました。4週間ほどすると、その空き地の草が9部どおり枯れていて、セイタカアワダチソウかヒメジョンみたいのだけがまだ青く残っていました。 どうやら、除草剤にも一度撒くと効き目が長持ちするというカプセル加工などをしたらしい、と推測されました。


道路の脇の草や空き地の草の様子が昨年までと違いました。昨年までは一斉に空地や道路わきの草が枯れていて、ああ除草剤をまいたのだな、そういえば2~3日前に具合悪かったな、と分かりました。クロマトグラフ連続では、2~3時間だけ合計濃度TVOCと化合物種類が急増しているという記録が残り、ああ日曜の昼何時から何時まで除草剤を撒いたのだったな、と分かりました。ところが今年は、おや枯れかかった草も混じっているよ、もしかして除草剤をまいたのかしら?と首をかしげていると、数週間してだんだん枯れた草が増えてきて大体は枯れる、けれども青いところも残る、とこの写真のように青いところと枯れたところが出来ています。その頃ずっと体調悪いのです。


また、20年も前から増え続け茂りた美しい花が咲き零れる庭桜という小灌木の群れの中で、80cmぐらいの幅の風の通り道だけ10本ぐらい次第に枯れました。いつの間にか育っていた満両もある朝窓を開けてみると目の前に茶色の物が出て来たのでアレ何かしらと思ったら昨日まで緑だった万両の葉が枯れ始めたのでした。向かい側の2件のうちの間を通って南から吹いてくる風の吹いてくる通り道に沿って枯れているのです。大きくなっていたツツジも枯れました。広がり過ぎて困っていた3本のハイネズのうちでその風の通り道にある1本だけが枯れました。半年の間に次第に枯れたものが増えました。


これは庭の笹の葉です。毎年毎年青々と元気過ぎる笹退治に格闘していたのに、葉の一部が白く変色しました。9月半ばのいまになると、白くなった部分はもろく崩れて落ちて心棒だけ残ったりし、まだ枯れたまま残った白い歯のものを集めると沢山ありました。



長持ちさせるように薬品を包み込む方法に2通りあります。 この写真のようにカプセルに包み込む方法です。 カプセルになるポリマー単分子と繋ぎ目化合物のアルコールなどと、中に入れる薬品を混ぜて、適当な液体に入れて掻き回すと、写真のように、薬品が包み込まれたカプセルが出来るのです。カプセルの直径は3ミクロン程度の大きさ、だいたいPM2.5の大きさです。カプセルポリマーの原料としては、イソシアネートが使いやすいのです。


もう一つの方法は、この図のようにかご型の分子をポリマー単分子で繋いで扱い易い0.3ミクロン程度の大きさにして、このかごが多分子の中に薬品を吸込ませるのです。 かご型分子としてはトウモロコシからとったシクロデキストリンという名前の澱粉がちょうどよいのです。これを繋ぐ単分子にもイソシアネートが都合よいのです。他のモノマーとしてモノクロロトリアジンを使うものも市販されています。これらをシクロデキストリンポリマーといって、コマーシャルでは、「天然のトウモロコシ成分を使っていますから無害です」と書いています。 今年の農薬、除草剤には、おそらくこのシクロデキストリンイソシアネートポリマーを使っているのでしょう。 だから、農薬が揮発して出て行くのと入れ違いに、普通に大気汚染としてあるはずのトルエンとエチルベンゼンが異様に減少しているのでしょう。 日にちが経過して、イソシアネートや農薬らしい苦痛が減少しても、クロマトグラフでのトルエンとエチルベンゼンの異様な低濃度減少は続いています。


イソシアネートカプセルには、一通りの製造方法では、ポリマーになったカプセルからでも、イソシアネートが残って揮発してくることがこの論文の分析結果で読み取れます。


私たちはこのようなとてつもない危険な空気から、どうやって身を守ったらよいでしょうか? 個人的な対策としては、・・・・が考えられます。


個人的な対策では防ぎきれない健康影響です。 地域全体でこの害を防ぐことが、困難ではありますが必要不可欠です。 具体的には・・・・などが考えられます。 皆さんのお力を借りて、日本の各地域の身の回りの物質、重大な健康悪化を引き起こしている環境被害の拡大を防いで下さいますようにお願いします。






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