相次ぐ柔軟剤による体調悪化


 

              包接材使用日用品からイソシアネートの検出

近年、日用繊維製品に付加価値を高めるための香料や農薬その他の成分の効果を長持ちさせるために、
それら成分をマイクロカプセルその他の包接材に包んだ製品が開発され、
普及した集合住宅地などではそれによる体調不良の訴えが生じている。
室内と環境調査で、イソシアネートが検出され、包接材に含まれるポリマー成分による可能性が大きいので報告する。

 

被害を訴えるものの症状は ・・・・であった。家族内でも暴露初期には無症状で、
ある時期またはあるイベントを境に発症する者も多い。
アレルギーと思われ、即時的反応が現れるとともに、遅発性または持続性の症状もある。
産業医の診断で、・・・。専門医の診断で中枢神経障害、呼吸器アレルギー・・・・。

 

柔軟剤の匂いによる健康被害の訴えを簡易分析と文献資料の両面から調査した結果、
実際の健康被害原因物質は、ニトリルなどの合成香料の影響もあろうが、
香料等の徐放剤・包接材に含まれているかその分解によって生じた
イソシアネートの可能性があると考えられた。

 

異なった住宅団地に住む・・・・から相談を受けて、
室内と環境を
2種の簡易連続分析器で実地調査し、症状を聞き取った。
 分析器は・・・である。

 

クロマトグラフにより自動的に示されたTVOCと、普通大気汚染のトルエンなど
主要
4成分濃度である。トルエンなどの割合が多くてその他の化合物が少ない時と、
ほとんど全部その他の成分が占める時とがあった。

 

今年の2月、1週間にわたり室外の同一地点からVOCモニターとケムキーで
大気を採取して分析した結果です。
VOC濃度測定値とイソシアネート濃度が
高感度に記録されたテープの変色度合いを5段階で評価しグラフ化しました。
同時にその時感じた臭い、天候・風向き、体で感じた症状を時系列で表示しています。
(この時のテープがシート
11です)

これを見ると、VOCの値は時間と共に激しく変動していますが、
イソシアネートはゆっくりとしか減衰せず、ほとんど途絶える事無く大気を汚染していることが分かります。
イソシアネートが消滅しにくい現象については更なる検討が必要です。

 

ケムキーのシアン化水素検出テープで調べると、室内空気にはないが、
室外ではうっすらと存在していることが記録されていた。
有機シアン化物がさわやかな香りで柔軟剤などの香料にたきしているという特許も出ているので、
それらが関連しているかもしれない。

 

イソシアネートテープでも同様に、室内空気にはないが、
室外ではうっすらと存在していることが記録されていた。

 

 

シート8のイソシアネートグラフの元になるテープです。
この様にほとんど途切れる事無くイソシアネートが検出されています。

 約50km離れた別の市でも、近隣から吹き寄せられる柔軟剤の匂いが強く室内にも入り込み、
体調が悪化して長期入院した、退院したが苦しくてたまらない、という訴えで、
匂いを嗅いでほしいというので調べに行きました。
家の外でも確かに臭いましたが、その時には耐えられないほどの匂いではありませんでした。
前の例ではイソシアネートは室内で検出されることはほとんどなかったのですが、
ここでは室内が確かに苦しい空気で、しかも明白にイソシアネートが検出されました。
玄関口の外の空気では薄くなりましたが自家用車中では室内と同じく検出されました。
20kmほど離れた団地に帰り着くと、そこでは30mほど先でエクステリアの修理工事をしていたので
ごくわずか検出されましたが室内では検出されませんでした。

 

柔軟剤の匂いで苦しいという被害例がその他にもあるのですが、合成香料はだいぶ前からたくさん使われていて、
整髪料のトルエン誘導体やアルデヒド類で苦しいという人などもいましたが、
最近の匂いで健康悪化して受診した話ほどには重症でなかったようです。
実際に被害者に香水やオーデコロンを吹き付けてみても影響ないですし、
昔のトイレ消臭剤の強烈なにおいの大瓶でも影響ないのです。 
最近の匂いに関連して調べてみると、長く効果があるように揮発消失し難く
包み込む徐放技術を応用していることが分かりました。
徐放技術には色々な方式があるのですが、マイクロカプセルに包む柔軟剤香料の場合には、
この写真のように繊維に強固に付着して、着用時に徐々に破けるようにはイソシアネートを使うと
性能が良いという資料がありました。

 

前のスライドの「時間と気象によって変動」を説明

 

ゴールデンウィークの直前から土浦市の住宅団地で今までになく高濃度のイソシアネートが検出され続けています。

一時は分析器を疑ってみましたが、クロマトグラフ分析と見較べてみると、
一般VOC汚染は極めて清浄で試験紙での干渉はないと思われました。
さらによく見ると、イソシアネートが特に多い日中にはVOCは少なく、
イソシアネートが低下する真夜中の短い時間にはVOCが増加しています。

また、柔軟剤汚染地区のクロマトグラフで現れたような、柔軟剤と共通の特徴的なある大きなピークが現れません。
(クロマトグラフはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレンの他はごくわずか。)

死を思わせる苦しさ、朦朧となる意識と歩行不能の脱力感、胸の締付るような感じ・痛み、
涙がにじむ、鼻が出る、声が出なくなる、少し遅れてヒーヒーいう咳こみ、気管かららしい粘液の嘔吐、・・・

比色テープ簡易分析器が示す強毒性の化合物、揮発性の範囲にはないかごく薄い強毒性物質の飛来があきらかです。

柔軟剤の匂いで苦しいという被害例がその他にもあるのですが、
合成香料はだいぶ前からたくさん使われていて、整髪料のトルエン誘導体やアルデヒド類で
苦しいという人などもいましたが、最近の匂いで健康悪化して受診した話ほどには重症でなかったようです。
実際に被害者に香水やオーデコロンを吹き付けてみても影響ないですし、
昔のトイレ消臭剤の強烈なにおいの大瓶でも影響ないのです。
 最近の匂いに関連して調べてみると、長く効果があるように揮発消失し難く包み込む徐放技術を
応用していることが分かりました。徐放技術には色々な方式があるのですが、
マイクロカプセルに包む柔軟剤香料の場合には、この写真のように繊維に強固に付着して、
着用時に徐々に破けるようにはイソシアネートを使うと性能が良いという資料がありました。

 

シクロデキストリンは分子構造が籠型で収着による包接分子として徐放技術に利用できる。
微細なポリマー材料にして種々な成分を包接して広い用途が期待されて応用が促進されている。
イソシアネートで結合したシクロデキストリンイソシアネートポリマーが香料やビタミン等の
包接材として繊維加工に性能が良いことも報告されている。
モノクロロトリアジンで結合する物も知られている。トリアジンもイソシアネートも含窒素有機化合物で毒性が強い。

 

農薬の有効成分の徐放技術としてポリウレタンなどのマイクロカプセルを用いた製剤技術が広まっている。

徐放剤、包接剤原料の一部にイソシアネートが有効だという文献は多数あった。
その一部をここに例示した。

柔軟剤の匂いによる健康被害の訴えを簡易分析と文献資料の両面から調査した結果、
実際の健康被害原因物質は、ニトリルなどの合成香料の影響もあろうが、
香料等の徐放剤・包接材に含まれているかその分解によって生じたイソシアネートの可能性があると考えられた。

外国ではイソシアネートが衣類や雑貨その他すべての製品について含まれているかの規制、
300
で溶媒抽出して分析するまでの規制があるとの情報(8)もあった。
包接技術の用途の成長に際して消費者および地域の健康影響を十分検討する必要があると思われた。

 

 

 

 









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