大気中VOCのその場分析における連続観察


地域環境の大気中に、極めて危険な汚染が急速に拡大していることが、毒性気体分析器で見つかったのでお知らせします。
NPO化学物質による大気汚染から健康を守る会の津谷裕子です。
調べた発生源は、自宅ややや離れたところの建築材料と、産廃処理場と、住宅地の柔軟剤および多分新しく設計された農薬からの広範囲汚染です
.

昨年あたりから、また特に今年のゴールデンウィークからは、原因不明で具合が悪いということをかなり聞きます。
風邪にしては長引く軽い咳と、疲れやすさ、だるさと眩暈、目の周りが痒い、鼻水が出る、喉が痛い、胸が苦しい、動悸がおきる等です。
  汚染にあってすぐ症状が出る場合と、6時間以上してから症状が出る場合があります。
 即時正反応、遅延正反応、両方出ることは良性反応と言います。即時的でないのは、原因を自覚し難いです。





白血球刺激試験という特別な検査でイソシアネートの1種などにアレルギー反応することが確かめられた人もいますが、
たいていの検査では原因はよくわかりません。
白血球遊走試験というのだけがアレルギー原因化学物質を確かめやすいことが分かってきましたが
検査してくれるところは新潟に一つあるだけです。

患者の体験からイソシアネートという合成樹脂原料が原因らしいので、どんな所で使っているのか、特許庁で特許出願を調べてみました。
   
5年ほど前に調べたところでは、 塗料、ゴム、繊維、繊維加工、接着剤、シール、コンクリート、アスファルト、などに使われていました。

ところが昨年から、徐放剤とか包接材とかという聞きなれない言葉で、イソシアネートを使う新技術の応用開発が
急速に拡大していることに気が付いて、どんな所で使い始めたか、また特許で調べてみました。 
徐放・包接技術でイソシアネートを使う方法は、マイクロカプセルの被膜にするのと、
吸収材料のシクロデキストリンをイソシアネートでつなぐのと、2通りあります。 
香料、消臭剤、農薬その他に使っています。 蒸発しやすいそれらが何時までも乾かずにじわじわと効果を上げ続けるように、
マイクロカプセルに包み込んだり、吸収材料の穴に詰め込んだりしておくためです。 
イソシアネートは体にも反応しやすくて毒なように、材料原料としても反応しやすくて良い性能のものを作りやすいのです。



シクロデキストリンというのはトウモロコシ澱粉で無害ですが、1ミリの100万分の1以下の大きさなので
イソシアネート等合成樹脂原料でつないだシクロデキストリンポリマーとして、香り成分や農薬を詰め込んだり、
悪臭を吸い込む消臭剤に使います。テレビ広告などで、「この製品は天然のトウモロコシ成分を使っているから無害です。」
といっていますが、確かにそれは無害ですが他に有害なイソシアネートを加えて
シクロデキストリン・ポリマーとして使っているというその製造会社の特許については黙っています。 
シクロデキストリン・イソシアネートと農薬とに関する特許が公開された年次を調べてみると、1995年まではほとんどなくて、
そこから増え始めて2013年ごろに一段落したかな、という感じです。 
特許になったのでそろそろ工場生産・市販され、今年のGWからの体調不良の原因かな?というところです。

分析機械で実際の汚染の様子を調べてみました。

体調異変を感じる住宅の窓にビニールシートを張って、そこにテフロンパイプを通して分析器に空気を取り込んで分析し続け、
汚染物質の変動を観察しています。
分析器は、化合物全体の種類と濃度を全体的に捉える簡易クロマトグラフ、
こういう形でパソコンに記録するものと、ごく薄い毒性ガスを検出する輸入分析器のケムキーという名前の物を使いました。


ケムキーは、検査結果が色で分かる試薬をしみこませたテープを巻いたカセットからテープを引き出して、丸い穴から空気を一定時間 
吹き付けて反応した色の濃さをレーザーで読み取るものです。テープは15分ごとに送り出されます。

さて、測定例ですが、屋根を塗り替えた家の室内で測ったものです。  
塗装中は、クロマトグラフがこんなにも変動して、高濃度で沢山の種類の化合物が室内にも侵入してきたのが分かります。 
工事の翌日には、こんなにも濃度が低くて、室内空気の変動がなく、化合物種類も少ないことが記録されていました。
 室内に置いたケムキーのテープでは、工事時間だけイソシアネートが検出されて赤い丸で記録され、工事時間以外には反応がありませんでした。 



簡易クロマトグラフで記録された化合物合計濃度、TVOCというのですが、先ほどの記録で分かる
工事時間だけは濃度が高いばかりでなくて、その後の5日目まで徐々に濃度が下がっていますから、
屋根工事の影響は、その日だけでなくてしばらく続いているようです。

測定例2   別の住宅で昨年7月中旬、80m離れて他の家の陰になる地点に住宅新築が始まりました。
 基礎工事の日に、それとは知らず窓を開けて昼寝していたので激しい喘息よう発作で病院に運ばれました。
  このTVOCと有機溶剤成分の記録は、工事がだいぶ進んでからのもので、外装や内装の工程の頃のようです。
有機溶媒の割合が多いです。低濃度の時と最高濃度では10倍以上の違いがあります。祭日は少なく、作業日が高濃度です。

夜の間の気温低下による濃度増加の他に、早朝の作業開始での増加、昼休みでの減少、夕方の増加と夜間の残留が認められます。



クロマトグラフで見ても、早朝4時と昼休み13時には点線のように濃度が低く、
化合物種類を表すピークの数も少ないですが、作業時間が始まった8時と終わりの17時には濃度も種類も増えていて、
建築工事による汚染だと分かります。 この付近は一帯の十宅地でその工事現場以外には何も発生源は考えられません

ケムキーで見ると、クロマトグラフでの工事時間にほぼ対応してイソシアネートが検出され、
夜から早朝にかけてはイソシアネートは検出されませんでした。

建築の外観が完成した12月頃にも、室内で時散発的にイソシアネートが検出されました。 
その時は咳が出る、声が嗄れる、だるい、などの症状も対応しました。

    散発的にイソシアネートが検出される時のクロマトグラフはほとんど変化がなくて、
体調に影響する空気汚染は、有毒化合物の分析でしか判断できず、
汚染化合物合計濃度のTVOCなどは関係ないことが分かりました

今までの測定例2の工事現場と測定地点の関係は、こんな風に離れています。 
測定器を設置したのは現場から反対側の窓の中です。 12月のケムキーは寝室でした。

室内汚染が室内で発生するのでなくて、屋外から侵入することが確かめられました。
  シックハウス対策に、窓を開けて換気すればよいというのは、幸せだった昔の環境でのことです。  
今は、自己責任で安全な空気を吸って健康を守ることが出来ません。 個人の健康に、社会的な対策が必要不可欠です。

次の測定例は、廃棄物処理施設です。 施設から50mで変動補調べています。  
行政で精密分析をしてくださいました。 精密分析の日になると設備の修理で作業休止になるので何度もやり直しました。 
今度こそは大丈夫だろうとサンプリングに行ってもらったのですが、朝まで高濃度だったTVOCが
サンプリングに到着する頃には急減していたり、月曜にはサンプリングが終わるまでは低濃度で、その後では杞憂上使用していました。

クロマトグラフで見ても、点線で表した通常の時間には高濃度で検出できた化合物ピークも異常なものがありますが、
サンプリングの時間には実線の赤のように濃度も化合物種類が激減していました。 
連続測定でもしないと、環境汚染問題は把握できないことが確認されました。

ケムキーで調べたイソシアネートも、朝9時ごろにサンプリングに到着するまでは検出されていましたが、
サンプリング中はなくて、夕方5時前にサンプリングが終えてから数時間して検出され始めました。

そこでの浮遊粉塵を顕微起用で見たら、赤や黄色、緑と鮮やかな粉塵でした。 
焼却準備の破砕によって発生した粉塵を連想します。 この廃棄物処理施設内各地点でTVOCを調べた行政の分布図では、
破砕施設室内とその塀の外では、測定値が9999と振切れていて、
焼却施設や貯蔵施設の100倍以上の高濃度だというデータに対応しているのでしょう。

次の例は、隣からの柔軟剤で苦しいという人のいつないで、イソシアネートが検出された例です。
玄関では少し薄いのですが、車の中も検出されました。
別の住宅地に帰ってくるとほとんど検出されず、その室内では全くありません。

その人のところから30kmほど離れた住宅地でも近所の柔軟剤で苦しい、と住民自身で分析しました。
クロマトグラフでのTVOCが洗濯作業に関連して高濃度になることが多いというのです。 
また、ケムキーでのイソシアネート検出濃度が高い時に、体調が苦しい時が多いというのです。 
頭痛、のどの痛み、咳、鼻汁、指が痛い、心臓動悸、目が痛い、鼻づまり、胸が痛い、体がだるい、痒い、など多彩な症状です。

ケムキーテープで見る家の外のイソシアネート濃度の変動です。 
夜に減少することがありますが、天気の良い日曜には途切れなく高濃度で汚染が続いています。
ここでは家の中ではほとんど検出されません。 ときどきうっすらと検出されるだけです。

家の外では、ケムキーのシアン化水素のテープでも反応がありました。 柔軟剤の香料として爽やかなニトリルが良い、
という洗剤メーカーの特許がありますから、そのニトリルが分解したものかもしれません。

クロマトグラフは、従来知られていた普通の都市大気の汚染とは違って、
自動車の未燃燃料や工事の有機溶媒とは違う異常な化合物が高濃度に検出されました。

 それは、柔軟剤からのクロマトグラフでも検出されたものとおなじでした。



柔軟剤を水で希釈し、日向で鉄クリップを入れて撹拌し、沪紙に染ませて容器内で日に当てながらケムキーで測定したところ、
市販の柔軟剤と消臭剤からイソシアネートを検出したものもありました。
 柔軟剤が入らない洗剤からは検出されませんでした。




柔軟剤の香り成分を長持ちさせるためにイソシアネートのマイクロカプセルに包む特許と研究論文があります。
そうして選択した繊維には、左の写真のようにイソシアネートカプセルが粘着しています。
 これを着て動くと、イソシアネートカプセルが破れて香りがするというわけです。
 右の図は、シクロデキストリンというトウモロコシの澱粉をイソシアネートでつないでシクロデキストリン・イソシアネート・ポリマーとして、
シクロデキストリン分子のすり鉢のような穴に香料や農薬やビタミンを詰め込んだり、
悪臭を吸い込む新しい技術製品の図です。柔軟剤に使う特許も農薬に使う特許も出ています。

最後の例は、原因不明の高濃度イソシアネート飛来の調査結果です。 今年のGW直前から発生し始めました。 
一日中ほとんど出ていましたが、6月20日ごろになって減ってきました。
木曜と金曜が一番きれいで、日曜が一番汚いです。 
この図を測定した5月の日には、夜中のほんの少しの時間だけ赤矢印のようにイソシアネートが少なく、
 その時TVOCはむしろ高かったのです。 
青→のようなイソシアネートが顕著な体調が酷く悪い時間にはTVOCがむしろ少なかったのです。

青→のイソシアネートが高く検出された時のクロマトグラムは、青い実線のように、
TVOCも低かったですが普通にある未燃ガソリン成分のトルエンなどのピークが低くなっています。
 建築汚染の時には、イソシアネートにTVOC増大が伴いましたが、今度の原因不明の大気汚染は逆です。
 ひとつ考えられることは、イソシアネートで繋いだシクロデキストリンポリマーの飛散によりVOCの吸着、
減少という事態が起きている可能性です。 GWから始まる農繁期と一致したのもその成果と思われます。

農作業をする人も、農薬を売る人も危険和知らないで扱っているかもしれません。 
事実を確かめて、皆の健康を守る必要があると痛切に心配しています。 皆様のお力添えをお願いします。




結言

終わりにまとめて言えば、このようになります。










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